フレッシェ微分とガトー微分
高校までは、数学は絶対的に正しいもののように思えます。
でも、大学に入るとその点は少し異なります。
先日、たまたま手に入れた論文誌に微分の解説が載っていました。
微分は一次元だといいのですが、多変数になってくるとややこしくなります。私も大学時代にそのあたりの話を勉強したことがあります。「フレッシェ微分」と「ガトー微分」。この二つは多変数の微分法の定義としては代表的なもの。そもそも微分にいくつも定義があるということは、当時それを知った時にそれなりに衝撃でしたが、大学院くらいになりますと常識として受け入れられるようになりました。
さて、この解説論文、改めて読んでみますと、以下のような記述があります。
なんと、私は全く同じものだと思っていました。「ガトー微分可能だからと言って、ガトー微分が定まるわけではない・・・」そんなことが・・・私が使っていた教科書[2]ではそんなことは言っていない!
で、読み直してみました
「3.1.2. Definition. if F(x):R" -> Rm is G-differentiable at x , then the unique linear operator A for which (1) holds is denoted by F'(x) and called the G-derivative of F at x.」(数式は端折っています。)
ほら、uniqueと書いてあるではないか・・・が、待てよ。これは「もしuniqueなAがあれば」と読むべきでは?そう、私は勝手にガトー微分が存在すると勘違いしていたのです。さらに、その先には偏微分との関係もしっかり書いてありました。
思い込みというのは恐ろしいもです。反省。
参考文献:
[1] 尾崎裕之. "有限次元の世界の 「滑らかさ」: フレッシェ微分とガトー微分." 三田学会雑誌 109.4 (2017): 681-702.
[2] Ortega, J. M., & Rheinboldt, W. C. (2000). Iterative solution of nonlinear equations in several variables. Society for Industrial and Applied Mathematics.